トライセクターリーダーが世界を変える

ブログの執筆にあたって

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皆さん、こんにちは、金野索一です。私の人生のミッションは、「2045年8月15日までに、世界から戦争と飢餓を無くすこと」です。その実現のためのテーマがPeace Tech】と【トライセクター・リーダー】です。このブログを執筆は、この2つの理念を中心に進めていきたいと考えています。

APeace Tech】  B【トライセクター・リーダー】

APeace Tech】とは?

Peace Techを一言で言うなら、その多くが、戦争に勝つため、軍事目的で発達してきた人類の科学技術やICTを、逆に戦争・貧困をなくし、社会課題解決のために使っていこうという考え方です。つまりPeace Techの目指すところは「この世界から、戦争や過度な貧困をなくすこと」です。多くの政治家や事業家が、良い政治、良いビジネス、良い経済を目指していますが、「良い」は人によってさまざまで一致しない。ところが、悪い方は一致できます。戦争を増やそうとか、貧困で餓死してしまう人を増やすことを望む人は世界中を探してもほとんどいないでしょう。地球上の大半が戦争と飢餓のない世界を望んでいると思います

でも、戦争も餓死もなくならないのはなぜでしょう。答えの1つは、戦死や餓死がなくならなくても困らない人=先進国の人間が世界を動かしているからです。そこで戦争や飢餓がなくならないと困る人、その悲惨な原体験を持っている人たちが、世界リーダーになったら世界は変わるのではないかと考えました。そのために、利益を稼ぎだすビジネスの道具であり、同時に社会の透明性・双方向性を促進する政治的・社会的道具でもあるICTを使いこなす世界リーダーを紛争国・貧困国から輩出する。それが、世界平和を実現する「ICT×教育×平和=Peace Tech」の原点です。

Peace Techの考えは、デンマークのヨハン・ガルトゥングが提唱する「積極的平和」にも通じます。積極的平和とは、単に戦争がない状態だけでなく、戦争の原因すらも全て除去することを目指すものです。例えば、ルワンダ虐殺の原因はフツ族とツチ族の対立で起きたと言われていますが、世界的ベストセラー「文明の崩壊」の中で著者のジャレド・ダイヤモンドは、本質的原因を2点指摘しています。1つは、虐殺が起こる前の数年間に天候不順が続き、食料が不足したこと。もう1つが1994年初頭、食糧メジャー会社がコーヒー豆の買取価格を下げたことで価格暴落が起きたことです。これらがフツ族のツチ族への虐殺の間接的なトリガーとなって、結果的にあの100万人が亡くなる悲劇につながってしまったという内容です。科学技術によって、争いが始まってしまった戦争の最中においては、解決できることは限られています。しかし、戦争が勃発する前段階にて、ICTや先端技術によって戦争の原因となっている様々なことを除去していくことは可能ではないでしょうか。まさに、それこそが、ピーステックの具体的思想です。食品会社によるコーヒー買取価格の不安定さが原因であるなら、例えば、コーヒー生産農家と物流と自社ECサイトと先進国の消費者をITネットワーク化して、ビジネスシステムを構築する。これができれば、食品会社に翻弄されることはなくなるでしょう。これこそ、ICT技術により紛争予防につながるPeace Techの可能性です。

Peace Techは理念ですが、その実践団体として私どものNPO法人Edo Tec Globalを設立しました。そして、戦争や飢餓がなくならないと困る人、その悲惨な原体験を持っている人たちが、ICTを使いこなす世界リーダーとして紛争国・貧困国から輩出されるための学校&教育を始めることにしました。この活動は、我々日本人にとって、非常にやりがいがあると考えています。なぜなら、欧米諸国と紛争地区は宗教や人種、武器提供などで対立関係にあることが多いのですが、日本人は宗教がフラットであり、有色人種で唯一のサミットメンバーであり、武器輸出をしていない国なので、世界的に中立的なポジションにあり、それを活かしてこの活動を推進していきます。日本の作家・宮沢賢治が「世界全体が幸福にならない内は個人の幸福はあり得ない」という言葉を残していますが、自分の国、日本を良くしていくのはもちろん大事ですが、世界の利益があったうえで日本の利益があるべきだろうと考えています。

人の人生は、小さいときの原体験が決定づけると言われています。先進国の人が「戦争反対」「飢餓撲滅」と言っても、人生を賭けてまでやるとは考え難いですが、紛争や飢餓の原体験がある人たちは、一生を貫いてもやる強い動機があります。その彼らに、最先端のICT技術やリーダーシップを教えます。さらには世界平和実現のために科学技術を人類や社会のために活かすための志の醸成とソリューション会得のためのSocial Good Methodと呼んでいる教育も設定されています。

具体的なカリキュラムは、ICT分野とそれ以外に分けて用意しています。

先端ICT分野では、「ブロックチェーン&分散処理」「データサイエンス」「AR/VR」「ドローン&ロボティックス」。単に知識を教えるだけでなく、技術を活かして、OJTで実際に開発します。ヨルダンにおけるシリア難民の学校なら、シリア難民向けの寄付サイトを作る。通常のカード決済のほか、Bitcoinでも寄付可能で、ブロックチェーン技術を使いながら、お金の流れを透明化するプロセスを学びます。

さらに、紛争や貧困の現場へのヒアリングを通じた寄付コンテンツ作りを進めます。私もヨルダンのザータリ難民キャンプ、アンマン市内の難民地区に足を運びましたが、戦争で父親は失明し、5歳の女の子が声を失ってしまったといった悲しい現実がたくさんあって言葉になりません。そうした場所で、難民の方たちが困っていることを聞いて、改善策を考え、寄付コンテンツとして形にしていきます。例えば、アンマン市のシリア難民が多く住む地区では、シリア難民の小学生でも3年生までは近所の公立小学校に就学できるのですが、4年生からは、家から遠い小学校になってしまい、通学費を難民家族では負担できず、学校に通えない子どもが少なくありません。こうした子どもたちに何ができるか。世界中から寄付を募って、各家庭に交通費を渡すのも一案ですが、ヒアリングの結果、同じ地区にまとまった数の子どもがいることが分かれば、スクールバスを提供するのも良いかもしれません。こうしたフィールドワークを含む、社会課題を解決するための教育内容が単に技術を学ぶだけではない「Peace Tech ~ Edo Tec Global School」の具体的なカリキュラムになります。

戦争をなくすため、Social Goodを実現するリーダーを輩出するための教育ににICTを据える意義は、人類の全産業の中で、ICTは、お金を儲けるツールであり、社会を透明化するツールでもあるという稀有な両面性を持った産業であることから派生します。詳細を言えば、第1には、為政者に対するもので、「最先端技術」を教えるというと、政治的な主義・主張に関わらず受け入れやすい。第2に、学ぶ側にとっては「仕事につながる」という動機づけになる。第3に、これは政権によっては嫌がるかもしれませんが、国民のITリテラシーを挙げていくことで、社会が透明化、双方化する。権力者・為政者が、社会を適当にコントロールしにくい社会になります。第3には、この教育活動とIT企業がWin-Winの関係になりやすい。遠く離れた場所だとしても、世界的な技術人材獲得競争の中で、ITエンジニアを育てることは、企業の人材育成にもつながります。

ICT以外の領域では、全体としてはSocial Good Methodと言って「Social Good ICT ケーススタディ」「ピース・コミュニケーション」「ピース・フルマインド」「グローバル・リーダーシップ」の4領域を教えます。このうちピースフルマインドというのは、私たちのカリキュラムのユニークなところで、相手を絶対に否定しない姿勢や考え方をどう形成していくかということをワークセッションで学んでいくものです。「ピースコミュニケーション」は、マーケティングやPRの手法を、ビジネスや政府のプロパガンダのような権威を強めるためのものではなく、平和実現や社会を良くする方向に使うことに主眼に置きます。

現状を見ると、今回、私たちがシリア難民の大学生向けに学校を開始するヨルダンでは、約4000人の若者が「イスラム国」(IS)に参加していると言われています。人数ではアルジェリアが世界最多ですが、人口比率でいうとヨルダンが世界トップです。せっかく理系・技術系教育や高等教育を学んでも、IS等の過激派組織に行ってしまっては、意味がありません。ここ数年の情報発信を見ていると分かりますが、ISの多くはICT技術に通じた「インテリ」です。貧困層ではないのです。まさに、技術以外の非ICT系のSocial Good Method=Peace Tech 教育こそが、私どものEdo Tec Global Schoolの真骨頂です

学校の設立場所とスケジュールですが、すでに2016年9月より、ルワンダでの小学生への教育は開始しました。2017年3月からは、大学生への教育をルワンダとヨルダン(シリア難民向け)で開始します。ルワンダでは、現地の教育関連の民間企業と共同運営します。私も現地に赴きましたが、1994年のルワンダ虐殺で、母方の8兄弟のうち、母親以外の7人が殺されたという、大学生に出会いました。その学生は、ルワンダを絶対に平和な社会にすると強く心に誓っています。そういう人に教育機会をもたらすことには、とてもやりがいがあります。ヨルダンでは、ヨルダンで最高峰のプリンセス・スマイヤ工科大学(PSUT)と調印をし、共同運営します。同大学の学生が半分、残り半分はシリア難民の大学生で、オンラインとオフラインの混成授業となります。

ルワンダで驚いたのが、広島や長崎のことを聞かれることです。ルワンダでは平和学習に力を入れているので、原爆の被爆地として両都市の名前を知ったのだそうです。大量の犠牲者を出した悲劇から再建できたところに共感できるようで、「どうやって進んだ国になったのか」とたずねられます。興味深いのは、教育分野で言うとアクティブラーニング、IT技術ではブロックチェーンなど、先進国でも後から登場してまだ一般化していないものが、アフリカ・中東ではほかの知識と同時に教えられ、社会への普及も早い可能性が高いことです。社会インフラが進んでいない国では、産業の進化とスマートフォンの普及が同時進行し、先進国では見られなかったサービスや産業が生まれているのと似ています。

将来的な目標ですが、この教育・学校を通じての人材育成は30年計画です。大きな目標としては、第2次世界大戦の終戦から100年となる2045年8月15日までに、この学校からの人材がリーダーシップを発揮して世界から戦争をなくすこと。まだ2年目なので、あと29年あります(笑)そのため、ルワンダ、中東(ヨルダン)、バルカン半島(ボスニア)、インドの4カ所で学校を運営していこうと思います。それと、世界中の紛争国・貧困国の留学生が集まっている東京とニューヨーク。ここでも学校を開設し、これらをリーダー人材ネットワークとして横でつなぎながら、世界平和を目指します。

悲痛な戦争や虐殺の原体験持ちつつ、この教育を受けた人たちが、20年、30年経って、ICTを駆使して世界中で活躍し、世界平和を実現する。これを人生のミッションとして死ぬまで続けていきたいと思います。

B【トライセクター・リーダー】とは?

(1)2つ以上のセクターでのキャリアを持つリーダー

(2)1つのセクターにおけるキャリアだが、より良き社会を実現していくために、3セクターの枠を越えて、各セクターの視点やノウハウや人脈などを取り入れているリーダー

今や現代社会は、2つのボーダレス革命に直面しています。

a)3つのセクターの水平ボーダレス化
一つは、「政治行政」「企業」「非営利」の境界の曖昧化による3つのセクターの水平ボーダレス化

b)行政単位の垂直ボーダレス化
もう一つは、国家より大きい単位「EU・ASEAN etc.」と、「国家」と、国家より小さい単位「州・県・市町村etc.」との境界の不適合化による行政単位の垂直ボーダレス化です。

→言い換えれば、少子高齢化や無国籍大企業の台頭に伴う「政治行政セクター」や「国民国家」の相対化・影響力低下の時代の到来です。

このポスト金融資本主義・ポスト国民国家の時代においては、今や、突出したカリスマ型リーダーでなく、政治行政・企業・非営利の3つのセクターすべてに通用する単一の枠に収まらない集合知活用型のリーダーこそ必然であり、そんなリーダーを「トライセクター・リーダー」と呼びます。

このブログでの一つのテーマは、3つのセクターと行政単位のボーダレス変化というマクロな視座を踏まえつつ、政治、企業、NPOの枠にこだわらずに、多くのSocial Goodや世界のために尽力しているケースや個人リーダーを中心に紹介していきます。そして、日本社会に、より多くのトライセクター・リーダーが輩出される一助となれば幸いです。

【トライセクター・リーダーを巡る2つの課題】

a)「トライセクター・リーダー」の源泉となる「6つの力」をどう獲得したか
・トライセクター・リーダーの源泉となる「6つの力」を次のように定義しました。

❶原体験を踏まえた志力
❷セクターを超えたヴィジョン構想力
❸各セクターに合わせた翻訳力・実践力
❹セクター横断的な人脈力
❺Π(パイ)型ナレッジ力
❻しがらみを打破する突破力

 b)「日本のトライセクター・リーダー」の源泉となる「日本人・4つの条件」とは?
❶日本人3つの中立価値
❷日本人のDNA/歴史的経緯
❸日本人の能力
❹日本国の存立条件

日本人トライセクター・リーダーの活動において、国際的には「日本人4つの条件」をいかに発揮しているかを検証し、日本人がいかに世界のSocial Goodイノベーションを率先して行くべきかを戦略的に考えていきたいと思います。

最後になりましたが、このPeace Tech【トライセクター・リーダー】を推進していくことの究極の哲学を表している日本の政治家・後藤新平の言葉を紹介したいと思います。

「財を残すは下、名を残すは中、人を残すは上 」(後藤新平)

 

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