【ヨルダンとパレスチナ自治区、イスラエルを訪れました】21世紀最大の難民問題・シリア難民65万人が暮らすヨルダン(同時にISイスラム国の戦闘員になった若者が約4千人で世界2位のヨルダン)と、20世紀最大の難民問題(未解決)パレスチナ難民を現出した当事者イスラエルとパレスチナ自治区を訪れました。悲惨な戦争の原体験を持つ若者を、世界リーダーへ輩出するための私たちのプロジェクト「Edo Tec Global School アンマン校」(シリア難民向け)を、アフリカ・ルワンダ校に続いて開校するための準備です。内容はICT教育&リベラルアーツ教育です。
今月、シリア空爆停止決議が国連で廃案とされ、いまだシリア空爆は続き、9月23日以降、少なくとも376人が死亡。「国連安保理が残虐行為を防げなかった1994年ルワンダ虐殺と同じような状況に直面している」(デミストゥラ・シリア担当特使)絶望的な状況です。現在、その内戦から避難したシリア難民約1170万人のうち、ヨルダンに65万の人たちが住んでいます。そして、主に世界最大のシリア難民キャンプ・ザアタリを代表とする難民キャンプに住む人たちと、アンマン等、通常の都市に住む人々がいます。約8万人の住民の半分以上が17歳以下の子供であるザアタリ難民キャンプは、砂漠地帯で寒暖の差が激しく、水不足や不衛生が深刻な問題です。私も行きましたが、軍隊、治安部隊の厳重な警備の中、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)から、詳細の調査・撮影は許可は出ませんでした。一方、都市に住んでいても、難民が労働許可を取ることは、資金、保証人、仕事の分野、コネ等複雑な絡みがあり、難しい状況なので、多くは困窮しています。アンマン市街のある地区で、難民の家庭訪問をさせて頂きました。お金がなく、小学校すらいけない子供も多く、写真の家族は、シリアから逃げる時に、戦争に巻き込まれ、父親は失明、娘さんはショックで声を失ってしまったそうです。そんな難民の人々を、シリア難民自らが支援するいくつかのNPOに%e9%9b%a3%e6%b0%91%e5%ae%b6%e6%97%8f%ef%bc%92 %e6%88%a6%e8%bb%8a %e3%82%b7%e3%83%aa%e3%82%a2%e9%9b%a3%e6%b0%91%e5%ad%90%e4%be%9bも伺いました。自身が難民の困難な状況にもかかわらず、内戦で体の障害を持った人のリハビリ支援等活動は多岐にわたります。また、在ヨルダンで日本最大のシリア難民支援組織NPOサダーカの代表・田村雅文氏にお世話になりましたが、田村さんは、数年にわたってシリア難民困窮家庭を毎週のように訪問し支援を続けており、頭が下がる思いです。
ヨルダンの総人口の半数以上は中東戦争によってイスラエルに占有されたパレスチナから難民として流入した人々パレスチナ難民とその子孫です。そこで、国境を越え、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区とイスラエル・エルサレム旧市街へ。パレスチナ難民キャンプの入り口には、つい最近イスラエル軍に射殺された小学生の男の子の写真が抗議で掲げられ、有名なイスラエル占領地区とパレスチナを隔てる“分離壁”は自爆テロを防ぐと同時に、イスラエルが占領・入植した土地の固定化とパレスチナ人の隔離・人口抑制のために今もなお建設され続け、その分離壁にメッセージを込めたパレスチナ人による壁画が、今や広く世界に知られています。そして現在もパレスチナ人の土地や家は壊され、強制的に難民キャンプ等へ移動を余儀なくされ、跡地に近代的な住宅が建設されユダヤ人が入植しています。そして、我々が訪れたこのパレスチナ自治区の一都市こそが、イエス・キリストが生まれたベツレヘムであり、その場所はキリスト生誕教会として多くのキリスト教徒が訪れていました。約2千年前に人々の安寧と隣人愛の祈りを世界に拡めたキリスト生誕の地の徒歩圏内に、憎悪の連鎖と民族・宗教の分断の象徴“分離壁”と“難民キャンプ”が21世紀の今なお存在する人類痛恨の場所。同時に、衆知の如く、エルサレム旧市街に集中している3大宗教の聖地、岩のドーム(イスラム教)、嘆きの壁(ユダヤ教)、キリストの墓・聖墳墓教会(キリスト教)に象徴されるこの地域の民族・宗教の特殊性が、ある一定の共存・均衡を保ってきた時代の後に、19世紀以降の西欧諸国の利害と絡んで増幅され、人類の紛争と世界平和を隔てる国際社会最大の壁となっている現場を目の当たりにしました。
私たちは、アフリカ・ルワンダで始めたのと同じように、最近、戦争(シリア)があった国をあえて選び、その戦争の原体験を持つ若者を世界リーダーへ輩出していきます。今回の訪問で、ヨルダンのIT分野の最高峰の大学と提携し、シリアで主に理系大学生だった難民と、ヨルダン人のIT系大学生と半々でクラスを編成し、来年の春から教育・学校を開始することで合意しました。内容は、先進国でも最先端の教育①先端ICT教育(ブロックチェーン技術、データサイエンス、ロボティクス等)②コミニケーション教育(ダイバーシティ、ロジカルシンキング等)。そして、せっかく人材育成を進めてもイスラム国へ行かれては全く意味がないので、③SocialGoodのためのリベラル・アーツ教育(先端科学技術をSocial Goodのために活かすMindSetの醸成)です。この教育を無償で提供し、日本企業への技術人材就職支援や起業支援、政治・社会分野も含めた世界リーダーへ強力に押し上げていきます。いずれ小学生のシリア難民向けにも開始します。
このプロジェクトを進めるには、宗教・人種の葛藤が深い中東地域において、キリスト教で白人中心である欧米諸国よりも、まさに中立ポジションを持つ(●宗教:特定の宗教が強くない、●人種・南北:有色人種(南)で唯一のサミットメンバー(北)、●軍事:武器輸出をしていない等)日本人こそ、相応しいと確信しています。そして、ルワンダ、この中東のほか、世界の深刻な対立地域バルカン(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、インド・バングラディシュ等にも、私たちのテーマ〜「常に戦争に勝つために軍事活用で発達してきた人間の科学技術を、戦争・飢餓をなくすために活用する【Peace Engineering】を通じて、世界平和=新たな資本主義実現を、人生を賭して実行する人材を、日本人が30年かけて育てていく学校:Edo Tec Global School」を展開していく予定です。皆さん、この育成した技術人材の採用したい、教育を一緒にやってもいいよ等、是非、色々な形で、参加・協力ください。「微力であっても、無力ではない。」よろしくお願いします。