平成最後の終戦記念日が過ぎ、昭和が遠くなっていく日本。今年、訪れたインド、フランス・パリ、ドイツ・ベルリン、ポーランド・ワルシャワのことも含めて、世界の現場と日本の6つの視点からの戦争と民主主義を思索する言葉メッセージ。
①日本の皇室:「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています(来年天皇になられる皇太子様。2015年2月)」
② ワルシャワ:「ドイツが負ければ、アウシュヴィッツ他の惨状はおのずと明らかになる。だが、ワルシャワ蜂起やカチンの森は、戦争が終われば、なかったことにされるか、事実を極端にねじ曲げられるかのどちらかだ(須賀しのぶ)」ショパン・コペルニクス生み、祖国を何度も失ったポーランド。ショパンは、1830年ワルシャワ陥落のときパリにいて反乱に参加できずに敗北感にうちひしがれた。その頃書かれた曲を、後にリストが『革命のエチュード』と命名する。a)ワルシャワ蜂起(1945年)記念碑、b)ショパン博物館。
③パリ:「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る(ヴォルテール、哲学者)」シャルリー・エブド襲撃事件(2015年1月)で、ジャーナリスト他12名がテロリストに殺された。上記の言葉を残した哲学者の名前を冠したヴォルテール大通りやフランス革命発端のバスティーユ広場等で数百万人と各国首脳(ネタニヤフ・イスラエル首相・パレスチナのアッバス自治政府議長、メルケル独首相他)の反テロ大規模行進が行われた。同じ年、パリ同時多発テロ(2015年11月)劇場他で130人が亡くなった。c)行進する各国首脳、d)ヴォルテール大通り、e)バスティーユ広場、f)テロの現場バタクラン劇場、g)テロの現場『シャルリー・エブド』本社
④ベルリン:「悪は悪人が作り出すのではなく、思考停止の凡人が作る。(ハンナ・アーレント、哲学者)」「最初、彼らは共産主義者を攻撃した。私は違うから黙っていた。次に社会主義者を攻撃した。私は違うから黙っていた。次に自由主義者、次にユダヤ人……最後は自分も攻撃される側になったが、誰も助けてくれなかった。(マルティン・ニーメラー、神学者)」ナチス・ヒトラーは、普通に選挙を通じて政権についた。h)ナチス展示物、i)ベルリンの壁跡アート
⑤デリー:ボーズとガンジーの対照的な思想「イギリスが武力で支配している以上、インド独立は武力によってのみ達成される(インバール作戦に日本と共に参戦したチャンドラ・ボーズ)」「握り拳とは、握手できない。非暴力運動において一番重要なことは、自己の内の臆病や不安を乗り越えることである(マハトマ・ガンディー)」 j)デリーのチャンドラ・ボーズ像、k)デリーのマハトマ・ガンディー博物館
⑥日本の指導者:「戦死された方々の覚悟・魂は崇高であるが、その尊い物語によって、国家や戦争指導者の失敗や愚かさを覆い隠し、その検証を曖昧にすべきではない。(戸高一成氏)」「情報は、本来リスクを回避するために追求される。しかし日本型組織では、往々にして自己都合を正当化するために選別されるのである。(小谷賢氏)」
「国体護持を叫びながら、軍も重臣も官僚も責任ある決断から逃げ回った。そして結局、昭和天皇がすべてを負った。(松本健一氏)」「天皇を頂点とする政治決定過程は機能不全だった。そもそも天皇と国家の関係とは何であるのか。軍も重臣も昭和天皇自身も不確かだった。(長谷川毅氏)」
「日本を破滅させたのは、何も決められず、何も変えられず、誰も責任をとらないという近代日本のエリート集団自体の無能であった。東條英機はむしろ、その秀才達の象徴といっていい。東條が一身に責任を負わされていること自体、日本の無能がいまだに改まっていない事の象徴なのである。(猪瀬直樹氏)」日本人戦没者(軍人)230万人の約6割が戦病死・餓死であり、日本人戦没者310万人(軍人/民間)の約半分は、終戦直前の僅か半年間(1945年3月〜8月)での死者であり、(アジア全体で亡くなった方々は2000万人以上)約4000人が亡くなった神風特攻隊の敵軍への命中率は僅か11%であった。こういった理不尽なデータを前にして、先達の指導者、国家システムへの徹底検証を踏まえ、今に活かしていく作業が日本人に不可欠なことです。

我々、戦争や飢餓の原因を先端技術で除去していくPeace Techをテーマとする活動は、ルワンダ、ヨルダン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、東京に続き、インドでもエドテックグローバルスクール・インド校を開講する予定です。
最後に、「戦争が平和の合間に起こるのであろうか。それとも平和が戦争の合間に訪れるのであろうか(ヴェルサイユ条約時のフランスの首相・クレマンソー)」この言葉が死語となる世界を創りませんか。昭和・平成が過ぎゆき、そして次の時代に持ち越された人と地球の全体最適への最大テーマです。

ナチス旗 ベルリン壁 皇太子2018 ガンジー像 ワルシャワ蜂起記念碑 パリ、テロの現場バタクラン劇場